選考理由
東洋クロス株式会社
本合成皮革は、東洋クロス(株)独自の加工技術「パーミア加工」を生かして、合成皮革の表面に微細な孔と柄を配置し、通気性と耐久性を兼ね添えた風合いもソフトな合成皮革であり期待される商品である。
商品開発においては、独自の加工技術に改良を加えて表面の開口サイズのミニマム化で通気機能を付与することに成功するとともに、優れた耐久性を持たせるための基材と多孔質層の接着強度や多孔質樹脂自体の強度を高める最適設計にて開発が行われている。特に、表面層の開口サイズのコントロール技術、ポリウレタン層の形成技術に高い技術力が伺える。2019年度の生産実績は約10万m(初期の約5倍)であり、家具用ソファーやカバン用途への販売が増加、自動車用シートへの採用も増えつつある。
高度な加工技術に加え、従来の合成皮革にない通気性を持たせた合成皮革として、機能性に優れた生活者密着型の商品であり、消費科学的見地からもフロンティア賞に相応しいと判断した。
以上のことから、「日本繊維製品消費科学会、消費科学フロンティア賞に値する」と認められ、ここに贈賞する。
株式会社ワコール人間科学研究所
本商品は、女性のバストの形状の変化に影響を与えている「重力」に着目し、「重力」の影響を軽減するためにブラジャーのカップ内側に「バストケアシート」を配置した新発想の商品である。
商品開発においては、女性のバスト形状の年齢に伴う変化の原因の一つが、重力によりバストが引っ張られバストの皮膚が伸びることであることを、バストに加わる重力の影響を無重力実験により解析し、ブラジャーの設計に反映している。特に、ブラジャーをカップ部とシートの2層に分け、それぞれの機能が発揮できるようにシートの形状、材質、接続部位を最適に組み合わせて設計、開発されている。
また、2020年1月から販売を開始し、2020年1月~12月累計で約35万枚販売の実績があり、コロナ禍の中で苦戦を強いられている業界の中でヒット商品となっている。
商品コンセプトを明確にし、今までにない「日常のバスト形状保持」に観点を置いた消費者(女性)ニーズに応えた商品であり、消費科学的見地からもフロンティア賞に相応しいと判断した。
以上のことから、「日本繊維製品消費科学会、消費科学フロンティア賞に値する」と認められ、
ここに贈賞する。