クッション材としては、発泡ウレタンが大量に使用されてきたが、通気性・透湿性が低く、課題があった。ブレスエアー®は、新しい着想によるポリエステル系エストラマーによる三次元ランダムループからなる網状構造体による商品である。高い通気性は寝具に適しているし、洗ってもすぐ乾くという特性は、介護用品に適している。嵩高保持率や硬さ保持率に関して、他の競合品に比べても優れており、耐久性も高いことから、商品としての信頼性は高く、新幹線の座席の採用をはじめとするシートへの用途拡大にもつながっている。このように多様な用途に用いられ、生活に大きなインパクトを与えている。

　試験発売は約20年前であったが、その後様々な特性をデータにより明らかにしてきたこともあり、2007年には新幹線N700系の座席に採用された。その後、様々なシート、介護用品、ペット用マットなど用途も広がり、販売数量の拡大は著しい。その優れた消費性能により、生活用品に今後も広く応用され、消費生活の発展に寄与していくことが推測される。

　材料試験による基本物性に留まらず、使用される状況に即した消費者側に立った快適性や使いやすさなどに関する評価データが的確に示され、消費科学の視点での評価も十分であり、日本繊維製品消費科学会　消費科学フロンティア賞に値すると認められ、ここに贈賞する。