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受賞メッセージ

この度は,名誉ある「2022年消費科学フロンティア賞」に選んでいただき,誠にありがとうございます.「LIVMOA®」に携わった社内外の関係者の誠意と熱意によって得られた成果を代表しての受賞だと思っております.
「LIVMOA®」に携わったすべての方々及び今回の受賞に当たり,選考委員の方々,事務局の方々にも心より感謝申し上げます.
当社化学防護服「LIVMOA®」は福島第一原発事故の復旧事業のひとつとして始まりました.当時,当社には防護服の知識・知見はほとんどありませんでしたが,福島で除染作業に従事する作業者の安全を守りかつ作業環境を改善させたいと思いから始まっており,その思いは「LIVMOA®」(Lively mode of Action)というブランド名に受け継がれ今につながってきております.
今回報告した「LIVMOA®3000」は,この思いを最初に具現化した製品であり,私にとっても思い入れの強い製品です.特に,製品の特徴となる粉塵防護と通気性の両立のキー素材となっている「トレミクロン®」は,「LIVMOA®」事業に携わる前のエアフィルター開発に従事していた時から扱ってきた当社素材であり同じ素材を違う用途で開発しどちらも製品化を行えたことは,自己満足になりますが嬉しい限りです.
また,「LIVMOA®」には更に期待していること,そうならなければいけないとの思いで進めている事項がございます.それは,国内に防護服メーカーを作るということです.
2014年西アフリカでエボラ出血熱が発生しアウトブレイクを致しました.当社は「LIVMOA®5000」という製品を上市しギニア共和国に1万着の寄贈をしました.その当時も,もしエボラ出血熱が国内で発生したら国内に防護服企業を持たない日本はどうなるのかとの思いを感じておりました.それが,具現化されたのが今回の新型コロナ(COVID-19)です.海外メーカーは自国に防護服を供給し,日本では感染症用途だけでなく産業用途の防護服も不足しました.
将来エボラ出血熱のように致死率が高くCOVID-19のように感染力が高いウイルスがパンデミックを起こす可能性は否定できません.その時日本に「LIVMOA®」があって良かったと思ってもらえるよう「LIVMOA®」事業を国内に根付かせなければいけないと思っています.
そのためにも,「LIVMOA®」という製品を皆様方に知ってもらい,手に取ってもらい,末永く愛用して頂く必要がございます.今回「LIVMOA®3000」で「LIVMOA®」のコンセプトである「安全性と作業性の両立」に関し,主に社内評価をもとに報告させていただきました.ただ,実際の使用環境は様々であり,まだまだ実証試験やそれを基にした改良が不可欠だと思っております.引き続き,社内外の評価や使用者の声を拾いよりよい製品となるよう精進していきたいと思います.
 また,最近では「LIVMOA®」シリーズに「LIVMOA®4000AS」・「LIVMOA®4500AS」がラインナップに加わりました.本製品は生地の耐水圧にこだわり,従来のSMS生地では達成できないレベルの耐水圧を有した製品となっております.「LIVMOA®4500AS」は,更に化学防護服Type4スプレー防護服に適合した製品であり,私が知る限りSMS不織布でType4に適合する性能を有するのは「LIVMOA®4500AS」が初めてだと思います.
是非,同様な用途で防護服を使用している方がおりましたら,「LIVMOA®」シリーズを手に取って検討いただければ幸いです.

東レは,中期経営課題“プロジェクト AP-G 2022”における基本戦略の一つとして「成長分野でのグローバルな拡大」を掲げ,医療の質向上・医療現場の負担軽減,健康長寿,人の安全に貢献するライフイノベーション事業拡大プロジェクトを推進しています.
今後も今回の受賞を励みにさらに多くの作業現場でそれぞれの環境に適した製品を安全・快適にご使用いただけるよう開発・上市・販売促進を推進していきたいと思います.
最後になりましたが,学会関係者の皆様には,今後ともご指導,ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます.
 

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