受賞メッセージ
このたびは「2020年消費科学フロンティア賞」をいただきありがとうございました。
受賞名タイトルは「高機能タオル」ですが、それのコアとなる水溶性長繊維の開発からのことを思い起こせば、お世話になった方々の顔が浮かびます。顔が浮かぶ方々の誰が欠けても「高機能タオル」はできなかったと思います。
水溶性長繊維の開発とその用途展開は、「天然繊維へのこだわり」と「ストレッチ素材の検討」から始まりました。この用途に関しては発展途上のものも、上市に至ったものもありますが、残念ながら、大きく飛躍はできていません。ただ、この検討が「高機能タオル」につながっていて、得られた素材はストレッチ機能だけではなく、タオルのパイルとして適した機能を有していたのです。
「天然繊維と水溶性長繊維を併せ、天然繊維の下撚に対して、逆方向に強撚をかけ複合糸を作る。そして、複合糸を用いて生機を作り、その後水溶性長繊維を溶解して、機能を発現させる。」ということは、検討開始時から変わっていません。前述の「ストレッチ素材」も「高機能タオル」も同じ技術です。この技術を「高機能タオル」という形で残し、そして大きく飛躍できたことは、素直にうれしく思います。
「高機能タオル」は主に浅野撚糸(株)が「エアーかおる:air kaol」というブランドで販売していますが、この「kaol」は、当社のk、浅野撚糸(株)のa、タオルメーカー:おぼろタオル(株)のo、そして、それぞれの技術が生きているという意味のliveのlを重ねたものです。「エアーかおる:air kaol」と聞くと、タオル開発中によく3社で打ち合わせしたことを思い出します。いい思い出です。
「高機能タオル」は、完成当初から今のように爆発的にして売れたわけではありません。浅野撚糸(株)の果敢で地道な販売活動、特に「エアーかおる:air kaol」ブランド戦略による問屋にたよらない直接販売、そして、実際に使用された方々からの評判により、着実に順調に販売を重ねることができて今に至っています。さらに、浅野撚糸(株)は撚糸工場の新設を福島県に予定しています。Made in Japanの思いと合わせ、復興の一助との思いによるものと聞いています。このタオルが復興のシンボルの1つとなればと願っています。